チャンスだと思ったら考えずに即掴め、ダメだと思ったら即手放せ

母方の祖父が生前言った言葉だそう

 

就職が決まった

3年以上続けているバイト先で25年来の常連様がお声を掛けて下さった

5月頃にいらっしゃった時にもふんわりと求人の話が出たのだが(お客様が社長)、その時はリクナビでエントリーして説明会へ行って選考が進んで内定、という正攻法で就活を突破しなければいけないんじゃないか、お話はありがたいけれどその方がどこまで本気か解らないし、ズルになるんじゃないか、正攻法で決めなければコネ入社だし...と後々コンプレックスになるんじゃないか、と思っていたので本気にしていなかった。自分の力で壁を乗り越えた証が欲しいとも思っていた

しかし就活中の精神不安定な状態のところに、どこまで本気か解らないけれどそう言ってもらえて少し気が楽になり、ただありがたいなあと感じた

その頃は建築業界を受けていて、選考が進んでいる話などをしていた。その方も建築関係の会社なので、今受けている会社は同じ業界の方からしたらどうなんですかとかそういう話をしたのを覚えている。もしかしたらその時の会話で同業種だしとちょっとでも頭に引っ掛けて頂けていたのかもしれない

先週お見えになって、芸大で四回生だったよね、就活はどんな感じ?という話になり、いやもう全滅です超落ち込んでます社会人になれる気がしない〜〜〜とベソベソ零していたら、写真でいくつもりなんかな、うち今求人出してんで、と再度仰られたから食い気味になって話を聞いた。労働環境のことを詳しく口にしておられるからもしかしたらこれは本気で仰ってるのでは、と信じ始めた

その話をしている時に店長が隣に座り、黙って二人の会話を聞いていた。途中から「この人は昔から知ってるけどいい人、信用出来るから大丈夫」と言って、私の良い所を話してくれた。なんて周りに恵まれているんだろうと泣きそうになった

その気があるなら電話して、一回見学においで、履歴書だけ持っておいでという流れになり、翌朝即電話してあれよあれよと面接の日が決まった

先月根詰めて取り組んでいたある会社の選考に落ちてからずっとクローゼットに押し込んでいたリクルートスーツを久しぶりに着た

世の就活という方法が本当にクソみたいだなと始める前からずっと思っていて、リクルートスーツを着た就活スタイルというのがそのクソだと感じてるものの権化、就活生という記号に自ら嵌め込んでいることが堪え難く、着るだけでイライラした。殺気を振り撒きながら、これだけ期待してしまって落ちたらどうしよう、お店では柔和だけど会社での面接がこれまでの選考のようにガチガチで始まったらどうしよう、言うことを何も考えていないという不安と緊張も混じり、そう長くない家から会社までの移動時間でかなり消耗した

結局想像していた恐ろしい事態は微塵も起こらず、出来レースのような面接というかただの会社説明と意思確認があり、私で良ければよろしくお願いします、と言って私の就活が終わった

本当にもう終わったのかと信じられない気持ちで帰路に着き、家族のLINEグループで報告すると、父が一番にウサビッチの喜んだスタンプと「よかったなあ!」という一言を言ってくれて、喜びとやっと開放感がどっと出てきた。フワフワした足取りになった

 

自分の数ヶ月後の身の振り方が確定していることで他人へのやっかみや焦燥感が消え去って心に余裕が出来て近い未来を想像する楽しみが生まれ、両親祖父母を安心させられたことにも安堵した

特に父にはこれまで何度も面接の練習やESの添削に夜中まで付き合ってもらって大変世話になっていたし、母は留年して就活しているわたしよりも先に現役で4回生の年子の妹が就職が決まったのを手放しで喜んでいいのかと少し苦悩していたらしいので(なんとなくそうだろうなとは思っていたが)本当に良かった

妹が以前「お姉ちゃん就職したらルームシェアしよや〜」と言ってきて無事社会人になれる自信がまったく無くなってしまっていたわたしは、おまえは決まってるからそう言えるけどわたしは自分の未来が全然見えないのに軽く言うな、と暗い気持ちで頷くことしか出来なかったことも、今なら明るい素直な気持ちで聞ける。しかし妹とのルームシェアは絶対揉める。主に金と男関係で

 

今のバイト先をなんだかんだ長く続けてきたことも、一年留年して真っ当に卒業出来なかったと自分自身の不甲斐なさを恥じたことも、クソだと思ってる正攻法の就活をして散々心折れたことも、この縁を大事に出来るようにということなのかなと思った

恐らく5月の時点で決まってしまっていたらこれほど万感胸に迫ることはなかったと想像出来る。拾って頂いた社長の顔を立てるためにめちゃくちゃ働かなければ

 

これまで幾度となく思ってきたが本当にわたしは周りに生かしてもらってるんだなとひたすら感謝の気持ちばかり

素直でいて感謝して生きる

この先どうなるかわからないし仕事の向き不向きなんてまだまだ解らないけれどとりあえずこの気持ちを忘れずいるため記しておきたい